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呉谷充利『文学する身体 ー谷崎潤一郎と志賀直哉ー』萌書房 2025.5
谷崎潤一郎と志賀直哉が手にし。戦後行方の分からなかった或る《観音像》が見つかる。近年に見る《志賀直哉旧居》の復元から3年後、2011年のことである。この《観音像》をめぐる二人の作家の精神が明るみになる。谷崎の美的想像力に対する志賀の観想という、二つの精神の意味が明らかにされ、これを山崎正和の『不機嫌の時代』を継承する日本近代文学の一展開とし、さらに東西の文明論を交え、敷衍化し、解き明かそうとする。著者は、いわゆる「近代的自我」に日本文化の多元性を再構成し、新たな考察としながら、この著作を閉じている。(2025.6.21記)